監督:若松節朗
出演:渡辺 謙、三浦友和、鈴木京香、
香川照之、石坂浩二、松雪泰子
もうびっくりするくらいの豪華キャスト。
わずか数分の出番にこんな大物が!ってびっくりする場面が何度もありました。
3時間22分。全く長さを感じることなく見ることができました。
途中10分間のIntermission(休憩時間)があるんだけど、なくてもいいくらい。
映画は、国民航空123便に搭乗する人たちの明るい表情で満ち溢れる空港のシーンから始まります。
生まれて間もない息子とともに写真に収まる若夫婦。
家で待つ息子の為に買ったお土産を手に、電話口でうれしそうに話す父親。
−「夕食作って待ってる」…妻のやさしい声。
初めての一人旅に出る息子を見送りに来た母親。
−スチュワーデス(松下奈緒)に手を引かれ機内へと向かいながら「またすぐお母さんに会えるよね?」と尋ねる少年。
「ごめんね。母親の具合が悪くなっちゃって。この埋め合わせは必ずするから」
−後輩のスチュワーデスにフライトを代わってもらった美樹(松雪泰子)
520余人の「未来」と「命」を乗せたKL123便は大阪・伊丹へと向かい飛び立ちました。
時は遡り昭和30年代。
恩地元(渡辺謙)は国民航空の労働組合で委員長を務めていました。
過酷な労働条件の下で働く従業員のため同僚で組合副委員長の行天(三浦友和)とともに会社と闘いなんとか職場環境の改善の一歩を踏み出すことに成功。
しかし、その恩地を待っていたのは懲罰人事。
パキスタン・カラチへの転勤を命じられた恩地は、他の組合員への懲罰人事は一切行わないこと、2年で必ず日本へ戻れることを条件にこの差別的な人事を受け入れることに。
一方、組合分裂に加担することを条件に栄転を重ね、エリートコースを歩き出した行天。
家族より一足早くパキスタンへやってきていた恩地を追って妻・りつ子(鈴木京香)と子供たちがやってきて、家族4人での生活が始まります。
慣れない外国−しかも僻地での生活は家族の絆をも危うくするものでした。
2年。2年の辛抱だ…。
ところが恩地を待っていたのはイラン・テヘランへの転勤。
憤りを堪え、会社の人事に従う恩地でしたが、日本に一人でいる恩地の母親(草笛光子)のこともあり、りつ子は子供たちを連れて日本へ帰国することに。
今度こそ、今度こそ日本へ戻れる。
しかしそんな恩地の期待はまたも打ち砕かれることに−路線就航もないケニア・ナイロビへの異動。
ある日、恩地の母親が危篤とのテレックスが入り緊急帰国するも
母親の最後を看取ることは叶いませんでした。
本社へ足を運んだ恩地は、かつての組合の仲間たちが閑職へ追いやられている現実を目の当たりにし、怒りを爆発させます。
「約束が違うじゃないですか!」
社長の桧山(神山繁)に食いかかるも、うやむやな返事ではぐらかそうとする社長(会社)に成す術ない恩地。
そんな恩地に、行天は「日本へ帰って来い。お前が戻ってくる根回しはできている。あとはお前が一筆書けば(詫び状)すぐにでも帰ってこれるんだぞ」と口ぞえをするのですが、それでは会社に屈したことになると思う恩地には首を縦にふることはできませんでした。
父親の「左遷」で子供たちにも少なからず影響が出ている−恩地の心は揺らぎますが決して自分の初志を貫くことを諦めようとはしない。
−恩地が再び日本へ復帰することができたのは、パキスタンへ追いやられてから10年の月日が流れていました。