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ぱちゃぽの film review

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マイウェイ 12,000キロの真実

 監督/脚本:カン・ジュギュ
 出演:オダギリジョー、チャン・ドンゴン、ファン・ビンビン
    キム・イングォン
 



「戦争」というものからは本当に何も生まれてこない。
この時代、一体どれだけたくさんのひとが運命を翻弄されたことだろう。

戦争がなければこの映画の二人−長谷川辰雄とキム・ジュンシクもオリンピックのマラソン選手を目指し、よきライバルとして戦ったことでしょう。

 

1928年日本の占領下にあった朝鮮半島。

憲兵隊司令官である祖父(夏八木勲)がいる京城(今のソウル)に両親と共にやってきた11歳の長谷川辰雄は、祖父の屋敷で使用人として働いているキム一家の長男・ジュンシクと出会います。

お互いに走ることが大好きだったこともあり、身分は違えど常に記録を競い合うよきライバルとして成長します。

 

ある大会で優勝した辰雄の祝賀会が行われていた日、お祝いの品だとある人物から包みを受け取ったジュンシクの父親。

うやうやしく辰雄の祖父に手渡し、その包みを開けた辰雄でしたが、その瞬間祖父の顔色が変わります。

包みの中に入っていたもの−爆弾。

とっさに自分の腹に抱え込みうつぶせになった祖父は大声で叫びます。

 

逃げろっ!!

 

次の瞬間爆発と共に辰雄の尊敬する祖父の体は無残な姿となってしまいます。

 

お前が殺したんだ−辰雄は包みを祖父に手渡したジュンシクの父親につかみかかります。

 

この事が辰雄の朝鮮人への偏見をさらに強いものにしてしまうのです。

 

時は流れて1938年。

東京オリンピックのマラソン代表選考をかねた大会で、辰雄(オダギリジョー)とジュンシク(チャン・ドンゴン)は激闘を繰り広げます。

ところが当時の審判団は日本人。朝鮮人を優勝させてはなるものかと、ジュンシクの走りを妨害するも、逆に転倒してしまいます。

激走の結果、ジュンシクが見事優勝したのですが、日本人選手の走りを妨害したと因縁をつけられ失格となり、2位の辰雄が優勝だと発表されたのです。

これに怒ったのが朝鮮の応援団。

1位はキム・ジュンシクだ!!−会場は乱闘が始まってしまいます。

 

この騒ぎは裁判にかけられ、乱闘に加わった朝鮮人へ課せられた罰は−「日本人」として日本軍に強制徴兵されるというものでした。

 

日の丸を負い、日本語を話す−どれほどの屈辱だったのかは簡単に想像できます。

大韓民国という国はとにかく自分たちの国をとても大切にしています。

ひとりの韓国人が屈辱的な思いをすれば、それは全国民の怒りとなって跳ね返ってきます。

−歴史を学ぶと国民性がとてもよくわかるものです。

 

モンゴル・ノモンハンへと送り込まれたジュンシクたちのもとに、隊長として辰雄がやってきます。

冷酷な軍人と化した辰雄は、ジュンシクらに非人道的な作戦に就くよう命令するのですが、

ジュンシクをはじめとする朝鮮人青年たちは激しく反発します。

 

ところが敵(ソ連軍)の奇襲を受けてしまった辰雄ら日本軍は苦戦を強いられます。

引き下がろうとする歩兵に銃口を向け、「後退は許さない!進め!進め!」と引き金を引く辰雄。

そんな辰雄にジュンシクは殴りかかり、「味方を全滅させる気か?くたばりたいならお前一人でくたばれっ!」と叫びます。

 

このときのオダギリジョーの演技は怖かった。狂気を帯びた目がホントに怖くて、「オダギリジョー」が壊れちゃったんじゃないかって思ってしまったくらい。

でも当時の人たちってみんなこうだったんだろうって思います。

目の前で仲間たちがどんどん死んでいって、どんどん積み重なっていく死体を見て正気でいられるはずがない。

「天皇陛下万歳」

そういう思考教育を受けていた彼らは、本当に誇りを持って死に向かって行ったんだろうか…。

 

ソ連軍との激戦後、辰雄・ジュンシクら生き残った歩兵たちはソ連・ペルミへと送り込まれます。

 

つまり、捕虜。

 

捕虜となった辰雄は、ソ連軍司令官から日の丸を踏むよう命じられます。

しかし、天皇の名の下に戦っている辰雄にとって日の丸に足を下ろすということは到底できないこと。

 

捕虜になっても上官としても権力を振りかざし続ける辰雄と衝突の絶えないジュンシク。

 

そしてついにそんな二人が処刑されることとなってしまいます。

−柱に括り付けられ、銃口を向けられ、いよいよ引き金を引く−まさにそのとき、1台の車がサイレンを鳴らしてやってきます。

 

ドイツ軍がソ連を侵攻したため、捕虜である辰雄らも「ソ連軍」として戦わなくてはならないというのです。

ソ連の軍服をつきつけられ、拒めばその場で即射殺。

−着替えをしようとする辰雄の手の震えは、極寒の地のせいなのか、屈辱のせいなのか…。

 

辰雄もジュンシクも「生きる」ことを選択したのです。

 

満足な武器もないままにドイツ軍との戦いを強いられた辰雄・ジュンシクら。

銃の弾が飛び交う下では、仲間同士の武器の奪い合い。

 

じりじりと後退を始めるソ連軍。

そのとき辰雄の目に飛び込んできたのは、味方の兵士たちに銃口を向けるソ連軍の将校の姿。

 

「後退は許さない!前へ進め!」

 

ノモンハンでの自分の姿と重ねる辰雄。

 

折り重なる死体の山。山。山。

 

ひとり歩き出した辰雄の目に映ったのは、同じく生き残ったジュンシクの姿。

 

ジュンシクはドイツ軍の兵士の死体からコートを剥ぎ取り、辰雄へと渡します。

「山を越えるには必要だ」

 

ドイツに亡命を決めた二人は雪山の越境を試みます。

しかし今回の激戦で深い傷を負った辰雄は、ドイツに着くと力尽き倒れこんでしまいます。

なんとか薬を調達しようと瓦礫と化した町へと向かったジュンシクでしたが、運悪くドイツ軍に捕まり連行されてしまいます。

 

ついにドイツでふたりは離れ離れとなってしまうのです。

 

辰雄とジュンシク。

ふたりとも決して揺らぐことのないものを心の中に持ち続けていたところは共通するところ。

辰雄は「祖国に命をささげる」という信念を曲げなかった。

一方のジュンシクは「いかなる状況でも走ることへの希望と、自分は『キム・ジュンシク』であること」を忘れなかった。

 

戦闘シーンは目を開けてしっかりと見ることはなかなか難しかった。

ソ連の収容所では寒さがスクリーンから伝わってくるようだった。

 

自分が生き残るために仲間を裏切ったもの。

友情・祖国・夢を捨てた若者たち。

 

自分が生きることだけで精一杯だった時代。

 

この映画に山本太郎が出てるんだけど、とにかくとにかくめちゃくちゃ嫌な奴の役。

朝鮮人をいじめ抜き、そのことで快感を得るような最悪な男。

今、いろいろと彼はお騒がせなことがあるみたいだけど、とてもいい役者ではないかとこの映画を見て感じました。

また身辺が落ち着いたら、ぜひ俳優としてがんばってほしいなぁ〜と思います。

 

ひとつ思うんだけど、この映画韓国ではどんな評価を受けたんだろう。

日本人が朝鮮人を罵倒するせりふも多いし、韓国側からしてみればいくら過去の出来事だと言っても決して気持ちのいいものではないと思うんだけど。

 

この「マイウェイ」、実話に基づいた映画なんだけど、この時代にこんな思いをした人がきっとたくさんいたはず。

そんな方々のおかげで今の平和な時代がある−自由に韓国に行っておいしいだの、安いだの言うことができる時代。

 

オダギリジョーが演じた役の方が実在の人だと思うんだけど、実際にチャン・ドンゴンのような存在の人がいたのなら安心する−って思うのアタシだけかな。

 

ラストにアタシは少し安心しました。

あのラストがこれからの日本と韓国の関係を暗示しているように感じられます。

 

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