blog index

ぱちゃぽの film review

気ままに書いてます(*^^*)
<< 愛してるから大丈夫 on dvd | main | キッチン〜3人のレシピ〜 −The Naked Kitchen >>
スポンサーサイト

一定期間更新がないため広告を表示しています

| スポンサードリンク | - | | - | - |
沈まぬ太陽
 


監督:若松節朗

出演:渡辺 謙、三浦友和、鈴木京香、
        香川照之、石坂浩二、松雪泰子




もうびっくりするくらいの豪華キャスト。

わずか数分の出番にこんな大物が!ってびっくりする場面が何度もありました。

3時間22分。全く長さを感じることなく見ることができました。

途中10分間のIntermission(休憩時間)があるんだけど、なくてもいいくらい。

 

映画は、国民航空123便に搭乗する人たちの明るい表情で満ち溢れる空港のシーンから始まります。

 

生まれて間もない息子とともに写真に収まる若夫婦。

 

家で待つ息子の為に買ったお土産を手に、電話口でうれしそうに話す父親。

−「夕食作って待ってる」…妻のやさしい声。

 

初めての一人旅に出る息子を見送りに来た母親。

−スチュワーデス(松下奈緒)に手を引かれ機内へと向かいながら「またすぐお母さんに会えるよね?」と尋ねる少年。

 

「ごめんね。母親の具合が悪くなっちゃって。この埋め合わせは必ずするから」

−後輩のスチュワーデスにフライトを代わってもらった美樹(松雪泰子)

 

520余人の「未来」と「命」を乗せたKL123便は大阪・伊丹へと向かい飛び立ちました。

 

時は遡り昭和30年代。

恩地元(渡辺謙)は国民航空の労働組合で委員長を務めていました。

過酷な労働条件の下で働く従業員のため同僚で組合副委員長の行天(三浦友和)とともに会社と闘いなんとか職場環境の改善の一歩を踏み出すことに成功。

しかし、その恩地を待っていたのは懲罰人事。

パキスタン・カラチへの転勤を命じられた恩地は、他の組合員への懲罰人事は一切行わないこと、2年で必ず日本へ戻れることを条件にこの差別的な人事を受け入れることに。

一方、組合分裂に加担することを条件に栄転を重ね、エリートコースを歩き出した行天。

 

家族より一足早くパキスタンへやってきていた恩地を追って妻・りつ子(鈴木京香)と子供たちがやってきて、家族4人での生活が始まります。

慣れない外国−しかも僻地での生活は家族の絆をも危うくするものでした。

 

2年。2年の辛抱だ…。

ところが恩地を待っていたのはイラン・テヘランへの転勤。

憤りを堪え、会社の人事に従う恩地でしたが、日本に一人でいる恩地の母親(草笛光子)のこともあり、りつ子は子供たちを連れて日本へ帰国することに。

 

今度こそ、今度こそ日本へ戻れる。

しかしそんな恩地の期待はまたも打ち砕かれることに−路線就航もないケニア・ナイロビへの異動。

 

ある日、恩地の母親が危篤とのテレックスが入り緊急帰国するも

母親の最後を看取ることは叶いませんでした。

本社へ足を運んだ恩地は、かつての組合の仲間たちが閑職へ追いやられている現実を目の当たりにし、怒りを爆発させます。

 

「約束が違うじゃないですか!」

社長の桧山(神山繁)に食いかかるも、うやむやな返事ではぐらかそうとする社長(会社)に成す術ない恩地。

 

そんな恩地に、行天は「日本へ帰って来い。お前が戻ってくる根回しはできている。あとはお前が一筆書けば(詫び状)すぐにでも帰ってこれるんだぞ」と口ぞえをするのですが、それでは会社に屈したことになると思う恩地には首を縦にふることはできませんでした。

 

父親の「左遷」で子供たちにも少なからず影響が出ている−恩地の心は揺らぎますが決して自分の初志を貫くことを諦めようとはしない。

 

−恩地が再び日本へ復帰することができたのは、パキスタンへ追いやられてから10年の月日が流れていました。

 

帰国した恩地を待っていたのは航空史上最大の事故と言われた御巣鷹山ジャンボ機墜落事故の遺族対応でした。

 

遺族のやり場のない怒りはすべて遺族対応係である恩地らへと向けられました。

悲痛な声に誠意を持って応えようとする恩地でしたが、事務的に事を進めようとする会社とは事あるごとに衝突することに。

 

遺族の一人、阪口(宇津井健)は息子夫婦に孫の顔を見せに来いと航空券を送ったことを悔いている胸のうちを打ち明けます。

「車で来ようとしていた息子たちに長時間の運転は大変だからと航空券を送ったんだ」

悔いても悔いても悔やみ切れない想いは阪口だけでなく、恩地をも苦しめるものでした。

 

遺族との補償問題は難航する一方でした。

 

国民航空の再建をかけ、新たな会長として職に就いた国見(石坂浩二)。

かつての恩地の組合での活躍を知り自分の下で働いて欲しいと口説くも、事故後癒されない心の傷を持った遺族のこと、そして自分を反発視する役員たちのことを思うと「はい」と言えない恩地。

しかし国見の熱い思いを知った恩地はさらなる「空の安全」のために、国見が新設した「会長室」の室長として新たな一歩を踏み出す決心をします。

 

そんな新スタートを切った会社の裏側では暗闘が繰り広げられていました。

次期の人事異動で今の閑職から抜けだせることを条件に八木(香川照之)は行天の言いなりとなり国民航空の航空券を金券ショップへ持ち込み現金化し、行天へと流していました。

−八木の手帳に自分との密会が細かく記載されていることを行天は知る由もなく。

 

国見の命によりニューヨークへやってきた恩地。

動物園で美樹に声を掛けられます。

 

美樹はあの事故以来、ある思いに苦しめられていました。

−あの日フライトを代わってもらったのは…行天に会いたかったから。

長年行天の愛人、そしてスパイとして動いてきたことを恩地に打ち明けます。

−お願い。行天を助けて。あの人このまま走り続けたらダメになってしまう。

 

 

航空事故に纏わるシーンでは、胸が閉めつけらる思いがしました。

実際に起きた事故がモデルになっているから余計に苦しくなってくるのかも。

あの日、飛行機でなく車で来いと言っていたら。

あの日、キャンセル待ちをしていなければ。

あの日、息子を一人で行かせなければ。

大切な人を失った方たちはきっとそんな風に自分を責めたことでしょう。

「運命」だと言ってしまえばそれまでだけど、そんな簡単な一言では片付けることができない痛みが今もまだきっと心に残っているのだと思います。

 

三浦友和演じる行天が遺族係(恩地ら)に「棺も手配しろ。遺族の目に触れないようにだ。足りないなんてことが絶対にないようにしろ」と命じるシーン、本当にそういうことがあったのかわかんないけど、なんてデリカシーのないことを言う人間がいるんだろうって、映画だってわかってても頭に来てしまって。

 

政治家をも巻き込んで行おうとした国民航空再建。

私利私欲に理性を失ってしまった人間がどれほど惨めなものか、この映画を見て怖くなってしまいました。

人間はとてももろい生き物だということがこの映画でつくづく教えられました。

「長いものに巻かれろ」タイプの行天と、不器用で他人にも家族にも−自分にも嘘がつけなくて歯をくいしばらなくちゃいけないことばかりの恩地。

そんな恩地を支え続けた奥さん。

 

原作は「白い巨塔」「不毛地帯」「華麗なる一族」の山崎豊子氏。

なにかの番組で山崎さんは小説を書かれるときの下調べを大変綿密にされるということを聞きました。この「沈まぬ太陽」でも航空会社のリサーチを随分されたことだと思います。それは決して簡単ではなかったと思慮します。

−航空業界からしてみれば、表に出したくない部分を描いた映画だし。

 

でも不思議と見終わった後は、現実でも恩地のような不器用だけどひたむきに私欲を捨て誠心誠意遺族の為に尽くした方がいたって信じられるんです。

−行天も大企業に翻弄された被害者だったのかも知れない。

 

映画は、ふたたびナイロビへと異動させられた恩地が、遺族へ当てた手紙を朗読して終わります。

−大きなアフリカの太陽を見ながら。

 

改めて航空機事故で亡くなられた方々のご冥福をお祈りしたいと思います。

 

そして旅をこよなく愛する一日本人として「ゆるぎない空の安全」を心から願いたいと思います。

| - | ドキュメンタリー | 23:29 | - | - |
スポンサーサイト
| スポンサードリンク | - | 23:29 | - | - |
    123
45678910
11121314151617
18192021222324
252627282930 
<< June 2017 >>

bolg index このページの先頭へ