監督:西谷 弘
出演:織田裕二、天海祐希、戸田恵梨香、
大塚寧々、伊藤淳史、福山雅治、佐藤浩市
映像的にもストーリー的にも、とても見ごたえのある映画でした。
加えて、個人的に大好きなイタリアが舞台ということもこの映画を見たい気持ちに拍車を掛けてくれました。
映画は、織田裕二演じる外交官・黒田と天海祐希演じる矢上紗江子がこわばった表情でホテルに戻ってくるシーンから始まります。
クリスマス間近のローマ。
シングルマザーの紗江子は一人娘のまどか(大森絢音)とともに空港に降り立ちました。
まどかは網膜の病を抱えており、帰国後手術を受けることになっていました。
そのまどかの目に自分と夫が一緒に旅行した唯一の場所−イタリアを焼き付けてあげたいという思いを胸にイタリアへとやってきました。
同じころ、一人の外交官がローマへとやってきます。
イタリアでのテロ予告の情報を入手、外務省の上司である片岡(中井貴一:声のみの出演)からの命令でやってきたのは黒田康作。
その頃、黒田の赴任先である日本大使館では菊原大使(小野寺昭)を筆頭に、参事官・西野(佐野史郎)、外交官である羽場(大塚寧々)、谷本(伊藤淳史)、赴任間もない研修生・安達(戸田恵梨香)らは、数日後に迫ったG8外務大臣会合の準備に追われていました。
その慌しさの中、新米外交官の安達は黒田の出迎えを忘れる始末。
日本からやってくる外務大臣・川越(平田満)を迎え入れる警備体制やイタリア滞在の準備に追われている大使館に邦人誘拐の連絡が入ってくるのですが、G8準備で手一杯の外交官たち。西野参事官はその誘拐の事件の担当に安達を指名。黒田とともに対応するよう命じます。
誘拐事件が起きた美術館に赴いた安達と黒田。−そこにいたのは娘がいなくなって取り乱している母親・紗江子。紗江子の話によれば−まどかはトイレに行くと言って母親の側を離れた…。
美術館の防犯ビデオを見てみると、確かに女子トイレに入っていくまどかの姿が映ってはいたのですが、出てくる姿が何度見てもカメラには映っていなかった…。
やがて紗江子の携帯に犯人から電話が掛かってくるも、イタリア語ができないために黒田が電話に出てしまいます。
犯人から身元を聞かれた黒田はつい「父親だ」と言ってしまい、以後この誘拐事件の交渉に関わってしまうこととなります。
イタリアでは、誘拐というとマフィアが絡んでいることがほんとんどであることから、犯人と直接交渉をすることが禁じられている上、身代金を犯人に渡すということはマフィアに資金を提供することとなり、法律違反になるという。−淡々とそう話す黒田の態度に苛立ちを爆発させた紗江子。
紗江子の「夫」となった黒田は犯人からの指示通りに従うことに。
テルミニ駅、サンタンジェロ城、スペイン広場−どこも観光客であふれかえっている場所を指定してくる犯人。意図が読めないまま犯人の指示通りに行動を繰り返すのですが、ついには警察のミスにより警察が事件に入ってきていることがバレてしまいます。
娘の行方も分からず、そして何より警察が犯したミスに怒りを隠せない紗江子は黒田を責め立てます。
そんな憔悴しきった状態の紗江子から連絡を受け、紗江子の元を尋ねてきたのはロンドンにいる商社マン・藤井(佐藤浩市)でした。藤井によると、数年前に体調を崩し日本の病院に入院した際の看護婦が紗江子だったという。−藤井は密かに紗江子に想いを寄せていました。
今回のイタリア旅行は紗江子に頼まれ藤井がすべて手配したものでした。
外交官に捜査権限がないことを知りつつも、事件に深入りをし始めた黒田。
無駄遣いは外交官の特権−黒田はそう言って紗江子に身代金の入ったバックを渡します。
なかなか姿を現さない犯人。
そして紗江子の携帯に掛かってきた電話がナポリから少し南へ下った港町・アマルフィからのものであったことから、事件の舞台がアマルフィへと移されます。
<※このあたりからネタばれとなります>